ミクロネシアの海で発生した台風の通過コースに位置するグアムでは、雨季になると台風が来ることがあります。台風と言っても、日本の台風とは違う部分もあります。グアムで安全に過ごす為の台風の知識をまとめます。
グアムの台風の季節
グアムは北緯13度に位置し、熱帯雨林気候です。一年が雨季と乾季に分かれています。
降雨量が多い雨季は6月〜11月、少ない乾季は12月から5月と言われていて、雨季には台風が接近することがあります。
つまり日本人が一番グアムに行きたくなる夏休みには、台風のことを考えておく必要があります。
グアムでは、風速75マイル以上(秒速約34メートル)以上の台風をタイフーン、風速75マイル未満の台風をトロピカルストームと言います。
日本の台風との違い
日本の台風とグアムの台風の一番の違いは、グアムの台風には「台風一過」は無い、ということかと思います。
日本だと、台風が通り過ぎると素晴らしい青空が広がることが多々あります。ですので、つい、「台風は通り過ぎれば大丈夫」と思ってしまうのですが、グアムの台風は通り過ぎてもいつまでも雨も風も強く、波も高いままです。
太平洋の真ん中で、日本の様に高い山もないので、最接近の後も衰えず、強い雨風がしばらく続きます。
台風接近時に知っておきたい単語「COR」
災害が予想される様な状況になると、テレビやインターネットでCORという単語が飛び交う様になります。
CORはCondition of Readinessの略です。災害に備えるべきレベルを指し、COR1からCOR4まで4つのレベルが定義されています。COR1が最も強い警戒レベルを指します。それぞれレベルで政府機関が行うことや市民に推奨されることが定められています。
COR4: 破壊的な強風(継続的に時速39マイルかそれ以上)が72時間以内にグアム島に吹いてくることが予想される。
グアムには常に72時間以内にこうした強風が吹き寄せるリスクがあり、平常時はCOR4である。
COR3: 破壊的な強風が48時間以内に吹いてくることが予想される。
以下の行動が推奨される・・・家族の安全計画の確認と見直し、災害対策キットの購入と補充、車のガソリンを満タンに、野外の物の安全確保、電気と水道が長時間止まった場合の備え、ラジオやテレビでの気象情報の確認
COR2: 破壊的な強風が24時間以内に吹いてくることが予想される。
以下の行動が推奨される・・・シャッターを閉める、水の確保、車を安全な場所に移す、家族の安全計画の確認、家が十分に安全でないと思われる場合は避難所を探す
COR1: 破壊的な強風が既に吹いているか、12時間以内に吹いてくることが予想される。
緊急車両と災害対策に携わる人のみが外出できる。怪我を防ぐ為、外出はしない。ラジオやテレビで気象情報を確認、またGuamPDN.comを確認する。
引用:Pacific Daily News(https://www.guampdn.com/story/news/2018/09/08/cor-4-cat-1-your-guide-storm-terms/1227821002/)を抄訳
悪天候時には是非チェックしたい情報です。
台風襲来時に役立つ情報源
ケーブルテレビの天気予報
- GTAケーブルテレビ「3」チャンネル
- ドコモパシフィックケーブルテレビ「2」チャンネル
インターネットサイト
Pacific Daily News(英語)
グアムローカルの新聞社です。台風が近づいた時の状況や台風が去った後の被害状況などが、具体的に掲載されます。
GUAM HOMELAND SECURITY(英語)
グアムの島内安全に関する政府サイトです。
https://ghs.guam.gov/programs/natural-disasters/typhoons
こちらのページは普段は台風への備えについての情報が掲載されていますが、台風が接近すると、下記の様に特別情報が掲載されます
インターネットの天気情報
NATIONAL WEATHER SERVICE(英語)
https://forecast.weather.gov/MapClick.php?lon=144.7767&lat=13.4936#.XKtOVqZUvOR
米国の気象庁にあたるNWSが提供する天気予報です。
気象庁
https://www.jma.go.jp/jp/typh/
日本の気象庁の台風情報のページです。
tenki.jp(日本気象協会)
https://tenki.jp/world/6/40/91212/
おなじみの日本気象協会です。日本語ですのでみやすいです。
Weather Channel(英語)
https://weather.com/weather/today/l/96931:4:US
民間の天気予報会社のWeather Channelです。(iPhoneのプリインストールの天気予報アプリに情報を提供しているのもWeather Channelです)
米軍合同台風警報センター(英語)
https://www.metoc.navy.mil/jtwc/jtwc.html
最近、日本のニュースでも時々出てくる様になった米軍の台風情報センター(Joint Typhoon Waring Center / JTWC)です。元来の目的が軍向けですので、見方に少し癖がありますが詳しい情報があります。
時刻は世界標準時で書かれており、例えば「10/0515Z」は「世界標準時で今月10日の5時15分」という意味になります。末尾の「Z」がこの時刻が世界標準時(UTC)であることを表します。
2019年2月、台風WUTIPに遭遇した!
2019年の2月は月の大半をグアムで過ごしていたのですが、23日に最接近した台風WUTIPの最中にもグアムに滞在していました。
この時ハガニア に近いSinajana(シナハニャ)のアパート(コンドミニアムでも貸別荘に近いタイプ)で自炊しながら滞在していました。
最初の一報を聞いたのは実は日本と電話をしていたときで、数日先に台風が近づいてるらしいよと教えてもらいました。2月の台風というのは非常にレアですし、ずっと天気も良かったので、長期滞在でしたが、ほとんど天気予報に興味を失っていた時でした。
(しかもグアムのテレビの天気予報はすごくわかりにくいのです。。。)
まさか2月に台風が?と思いましたが、確かにテレビの天気予報チャンネルを見ると画面の下側に赤い帯でTyphoonに関するテロップが出ていました。
ちなみに、最初テロップを見ても意味不明だったのですが、その原因は時刻が0530の様にコロンを入れずに記載されていたからでした。またChSTという文字も頻繁に出てくるのですが、これはチャモロ標準時(Chamorro Standard Time)のことで、グアムが属しているタイムゾーンのことでした。(ChSTは日本のJSTより1時間先行)
ネットも色々見たのですが、台風が来るらしいは分かるものの、天気予報は結構ものによって違っていて、あちこち見ていました。いつ天気が回復するのかは、サイトによってかなり違っていたので。
最接近の少し前にニッコーホテルに行くことがあったのですが、印象的だったのが、結構早い段階でホテル内の案内看板(「プールはこっち」みたいなやつ)を片っ端から取り外していました。確かに飛んだら危険ですからね。ある意味、台風が近づくと、いろんな案内も分からなくる可能性もあります。
台風が近づく前には、あらかじめペイレス(スーパーマーケット)に行って食料を買い込んでおいて、風雨が強い間はコンドミニアムにこもっていました。
日本と違うのは、最接近がよく分からないことでしょうか。地形的な性質だと思うのですが、台風一過とはならずいつまでも風雨が強いのに加えて、日本の様にテレビでリアルタイムに中継してくれる訳ではないので(テレビの天気図もぼやけてよく分からなかった、、、)、今ひとつ台風がどこにいるのかピンとこない感じでした。
様子がよく分からない中で、状況を掴むのに役に立ったのはPacific Daily Newsで、被害状況が写真入りでアップされたりするので、状況を掴みやすかったです。
ホテルに滞在していたら、ホテルからアナウンスがあったりするのかな?と思ったりするのですが、 個人経営のアパートではそういうのは期待できないので一生懸命調べてました。
後から聞いたところでは、COR1発令を目安に、赤いシャトルバスやレアレアトロリーなんかも止まっていた様です。
WUTIPは幸いにグアムのやや南にそれて行ったので良かったですが、それでも島の南側では冠水や停電などの被害が出た様です。台風が去ったら、Tongan Beach Resortに行こうと思っていたのですが、こちらも被害があったらしく、サイトに休業の案内が出ていて断念しました。
最後に
グアムと台風はどうしても切っても切れない関係という感じなので、グアムに行かれる前に、少しだけ台風の知識を身につけておくと、安心だと思います。
みなさんの安心なグアム旅行のお役に立てば幸いです。